「鳥海山の南麓と北麓」  2020.11
topへ
「よかったところ」topへ
 鳥海山は秋田県と山形県にまたがる成層火山です。西側は直接日本海に繋がっています。東北地方では尾瀬の燧ケ岳に次ぐ標高かと思います。自宅からはやや遠いため、これまでに登ったことは一回のみです。5月の末でしたが、残雪が多く、途中から持参したアイゼンを付けての移動となりました。途中で出会ったのは一人だけ、山形側の鳥の海は往路では全面結氷でしたが、帰途には溶け始めでヒビが入っていました。

 鳥海山の方へ向かう途上で、境内迄見学したことの無かった、奥州市の黒石寺と正法寺に立ち寄ります。ちょうど紅葉が良いところでした。(6枚の写真は黒石寺)
 正法寺はどうしてこんな田舎にこれほどの立派なお寺が建ってるんだろう?(失礼)と思えるようなところです。曹洞宗の岩手県本部のような所で、ウチのお寺も曹洞宗なので、名札?を探すとありました。
 中に暖房の利いた休憩室があって、お菓子が食べ放題?ですが、あまりたくさんは食べないようにします。(すみませんがそちらの写真はありません)
 宮城の花山から峠を越えて秋田の小安峡へ抜けようと計画したのですが、冬期通行止め予定が、早い降雪があったためか、既に実施されていましたので、鳥海山麓を南側から時計回りに訪ねてみることにします。
 最初に立ち寄ったポイントは、山形県の 飽海郡遊佐町吹浦(あくみぐん ゆざまち ふくら)にある、フルーツサンドを売っているお店です。お店と言ってもケーキ屋、お菓子屋さんではなく、地元に密着した食料品販売を中心とするスーパーです。
 長女からの情報では、開店前に行列が出来るらしいので、販売開始の1時間と少し前に店の駐車場に入りました。
 まだ誰も並んでいないので、早すぎたかと思いましたが、一時間前の10時を過ぎると店の外に並び始めました。以前は店内から行列が始まったようですが、この日は入口の外から皆さん行儀よく並んでいます。販売開始の11時少し前には保冷車が2台ほどやってきましたが、多分店外で調理され他ものを搬入しに来たようです。
 20分ほどして列が10人くらいになったところで私たちも並び始めます。情報では一人3個までの制限なので、6個を考えていましたが、この日は担当の方が一人5個までといってくれましたので、計9個購入しました。列に並んだのは一時ざっと数えて50以上に上りました。
 フルーツサンド専用の保冷展示棚が、普通の食品売り場の一角にあって、そこへ10人ずつに区切って誘導されます。買い物かごは現地にあるので入口から持ってゆく必要はありません。あとは本当においしそうな果物と生クリームが溢れんばかりに入ったサンドを、悩みながら選択してカゴに入れて、通常のレジで支払いをします。
 スポンジケーキではなく、食パンに挟んで、果物の断面がこれでもか!とクリームと一緒に出ているのが迫力です。もちろん食べ応えも十分で、味と見た目で幸せな気持ちになる食べ物です。
↓下の写真は左から 柿 洋ナシ パイナップル バナナ プレーン(クリームのみ)
右下に続いて (ナントカ)マンゴー、ミックス、シャインマスカット です〜。

 お買い得感のある品から先に無くなるような気もするので、狙いを絞って購入する場合には列の前の方に並んだ方が良いかもです。
 鳥海山山麓南側、山形県での次のポイントは、丸池様です。 「様」が付いていますが人工的に祀ったものではなく、鳥海山に付帯して自然に形成されたものです。
 広い庄内平野をずーっと走ってたどり着いたのは鮭の採卵場?です。清流を仕切ってあって、遡上してきた鮭がトラップに入り、戻れないようになっています。
 この流れも鳥海山からの湧き水のようで、上流へ進むと今では川であまり見られなくなったバイカモ(梅花藻)が多く水中に生えています。この水草は金魚鉢に植えてあげると金魚が映えます。このほかにクロモというのもあった気もしますが、どちらも水質の変化のためでしょうか、他では自生は見かけることがなくなりました。花の季節には小さな白い、梅に似た花が、枝を伸ばした先の水面に届いてぽつぽつと開きます。水はほとんど透明で、水面の反射が無ければ直接触れられそうにも見えます。
 採卵場から上記の清流を経て2分ほどの所に丸池様があります。ちょうど紅葉の季節と相まって、水面に反射する黄色の葉や、見る角度によって木々との配置が変化して行きますので、とても良い時期の参拝ができました。
 道の駅鳥海ふらっとで昼食にします。食べ物屋さんが充実した道の駅ですが、ここに来たら焼き魚をいただかなければもったいないです。串に刺して焼いた各種の魚を、持ち帰りもできますが、専用の魚をいただくコーナーがあって、皆さんそこでほおばっています。私たちは車に持ち帰って、ごはんといただいて、デザートに上記のフルーツサンドもいただきました。
 少し戻るルートになりますが、玉簾の滝に向かいます。山形県内では落差が一番大きい滝ということで、お社や遊歩道・東屋もあって、紅葉も過ぎた季節ですが、途切れずにお客さんがやってきます。
 山形側からの湯の台登山口に行ってみたいのですが、ご覧の通り積雪のため上の方は通行止めに入っていますので、途中の家族旅行村を目指して上がってみます。
 鳥海高原ラインからの登山口へ向かう途中にある鳥海高原家族旅行村に着きました。10月いっぱいで営業は終了とのことで、スタッフの車やスノーモービルが見えますが、ひっそりしています。どのような建物があるのか少し見学をしました。
 広々としたところで子供たちを遊ばせたり、テントとも旅館とも違った、安心できるスペースで泊ったりするのにはとても良さそうです。
 駐車場でのPキャンは禁止のようです。キャンプ場もあるようですが、車の乗り入れが出来るのかどうかよく確認できませんでした。可能であれば私のような用途には使い甲斐がありそうです
 すぐ近くに、鳥海イヌワシみらい館 と 湯の台温泉鳥海山荘 がありますが、どちらも通年営業のようです。山の上の雪深い所だと思いますが、利用者にはありがたいところです。前者に入ってみましたが、鳥、特に猛禽類の好きな人にはたまらない内容だと思います。展示施設一般に言えることですが、映像展示設備のハード面で、昨今の流れで4K・8kが欲しいところですが、多くの所では良くてフルハイビジョン、場合によってはそれ以前の画質の所が多く残っています。せっかくの各種展示なので、ソフトのリニューアルをお願いしたいところです。
 帰りの下り道は、数河の池を経由する道が地形図上にありましたので通ってみます。途中には広大なエリアで段々畑状に森林を伐開している所がありましたが、想像するにソーラーファームかもしれません。そうだとした場合、土砂が流出して下流に迷惑をかけている例もあるので、良い工法かもしれません。ですが原生林に近いような植物相を切り倒して大木や小枝が山積みになっているのを見ると、少しだけ違和感を覚えました。
 池自体は期待していた自然の湖沼ではなく、現状では人造湖で、水が抜かれた状態でした。
 日向小学校の跡を転用したコミュニティセンターに立ち寄った後、日本海側に向かいます。
 象潟の道の駅 ねむの丘にやってきました。(写真はすみませんが別の機会に訪れた時の物です)
 台地状の草原にある何個かの石に座って夕日を眺めることができます。上層階には展望浴場があって、夕日が沈むのを湯舟から眺めることも出来ます。トイレの改修工事も終わって快適に利用できます。隣接する、何年か前に出来たにかほ市観光拠点センター にかほっと に入りますが、夕刻なのでほとんどのお店は閉まっていました。でも焼き鳥やソーセージを焼いたものを売っているお店がまだ開いていましたので、豚トロ串などを買って酒のつまみにもちかえります。ここでPキャン場所の穴場スポットですが、駐車場北西端の外側、未舗装の区画(予備駐車場)で海よりの所が静かで海も見えていいですよ。
 最近はコロナ禍もあって、人との接触が少ない車中泊・キャンピングカーの人気が高まっているそうですが、「数の増大は質の低下を招く」と言われることもあり、中には 車中泊禁止の対応を招いてしまうような行動もあるようです。ここではまだそうはなっていないようですが、私の意見を少し。マナーについての理由はその通りで、守るべきです。しかし道の駅で車中泊自体が「目的外」なので禁止ということになると、業務用のトラックなどでは車中泊は当たり前です。またあまり触れたくは無いのですが、スタッフの車は長時間駐車場の一部を占拠しています。業務用の用途は良くて、観光・余暇利用の車はダメというのは、時代の流れに会っていません。 また一方で車中泊専用の施設をもっと充実するべきであることも確かです。 まだ日本人は余暇の利用方法に慣れていないことを感じます。
 霜の降りた翌朝は、これまで行ったことの無かった 九十九島を見ます。蚶満寺園地という駐車場があります。公衆トイレもあります。そこから、昔 松尾芭蕉が来た頃には点在する島であった小高い小さな丘の間をつなぐように歩道が整備されています。地震で隆起して陸地になった海底を土壌改良していまは水田として使われているようです。
 散策の後には、内陸の湯沢方面に向かうのですが、ナビの案内ではアップダウンが大きいのですが、仁賀保高原を通るルートを示しているので、いつも立ち寄りたいところでもあり、朝食の場所を兼ねてひばり荘(冬季休業中)へ向かいます。
 ひばり荘のある仁賀保高原の最高地点にやってきました。ここで朝食にしますが、かなりの回数一泊したこともあります。ロケーションは最高ですが、Pキャンの難点とすればトイレが無いことでしょうか。トイレ付きのキャンカーであれば問題ありません。
 よく「キャンピングカーにトイレは必要無い、あっても使わない、掃除をしたくない、使っているのを見たことが無い」といった意見を豪語する人が居ますが、私の意見を述べますと、トイレ掃除が嫌だから必要無いと言う人は、育児や介護もできない、やったことの無いいわば人間的に大人になり切れていない人です。また幼児や高齢者の利用や体調が悪い場合といった、様々な状況を想定できる思索が出来ない人です。仮に健康な成人だけだとしても、雨の冬の夜にトイレに行ったり、トイレのある施設付近にしか宿泊できないというのは、キャンピングカーの特性「いつでもどこでも」を半分程度しか使いこなせていません。 …というわけで、私はトイレ必須派です。
  右写真の奥は日本海の水平線です。北方には男鹿半島まで見通すことが出来ます。この高原に通い始めたのは35年くらい前ですが、風車はまだ立っておらず、ひばり荘も無かったような…。キャンプ場は有りましたが各テントサイトからは日本海が見通せました。現在はうっそうとした森の中の熊が来そうなサイトの間に連絡路があります。実際熊が夕日の手前に現れて、牧草作業においてあるトラクターに立ち上がって両手をついたのを見たことがあります。
 農業用のため池かと思いますが、水面が点在していて(下の写真)その間を縫うようにサイクリングロードがあり、二人乗り自転車で長女と廻ったことが有りましたが、設備や自転車はあるようですが、今も営業しているかどうかは不明です。
 鳥海山の北麓を半周するように進んで、次の目的地は泥湯温泉と川原毛地獄です。当初の予定では、宮城県の花山から直接来る予定でしたが、ものすごい遠回りをしてたどり着きました。
 ところが泥湯温泉は営業しているらしいのですが、その先の川原毛地獄までの道は通行止めに入っていましたので諦めます。
 右上の写真は、泥湯温泉奥山旅館のようです。泥湯温泉には他にも小椋旅館があって、こちらのお風呂にも入ったことがあります。
 渓流沿いにある奥山旅館の風呂は、男女別の内風呂から外の混浴露天風呂に行くことが出来るようになっていますが、某団体(男は私一人)で行った際に、私が内湯に使っていると、誰かが外から入って来て、次の瞬間悲鳴を上げました。戻る女湯と男湯のドアを間違えたようでした。

 泥湯から小安峡に向かいたかったのですが、桁倉沼経由で行ける道は、事前の案内標識が無かったにもかかわらず、通行止めになっていました。やむなく再び麓に下りて…
 Googleマップで立ち寄りポイントを探すと、ジオスタ☆ゆざわ というところがあります。くりこま山麓や陸中海岸にも指定されていて、湯沢にもジオパークがあるのは知っていましたが、集約した解説施設が設置されているのは知りませんでした。
 常駐の解説員が居て各分野にわたる展示の説明をしてもらえます。この建物は比較的新しいのですが小学校の統合で空いた校舎を利用しています。地区の住民が閉校を見越して地域の中核施設としての利用を想定して建てたもののようです。内容は私の興味のある地学分野から歴史・酒蔵に関して等各種あって見切れないので、また後日来訪したいところです。
 

 湯沢市内に出て地元のラーメン店で昼食の後、名所?の力水を見学します。湯沢市役所に近い公園の隅の方にあります。 力水と石に彫られてあって、構えが立派ですが、格子の奥の方には衛生面と技術面に配慮して、配管やバルブで構成された給水設備が見えます。

 横手市増田にあるマンガ美術館にやってきました。↓ 蔵の町としての増田は幾度か見学に来たことが有るのですが、すぐ近くのマンガ美術館は、以前から見たかったものの先延ばしになっていました。内容が良くわからなかったのですが、入館無料でマンガが多く読めるようになっていてたくさんの読者が集まっています。ですが最大の目的は各漫画家の原画をそのまま保存あるいはアーカイブする機能のようです。

 

 たまたま開かれていた「矢口高雄画業五十周年記念展」(有料)を見学させていただきました。矢口氏の様々な面からの紹介や作品の経過と説明があります。以前に連載を読んでいましたが、自然の描写と人物の豊かな表情を含めた、絵の上手さでは日本の漫画家で一番だと思います。(蛇足で付け加えると人物のキャラクター設定と感情表現で感心するのは弘兼憲史さんです)
 秋田の雪深いふるさとや四季の移ろいの描写は、この少し前にやはり原画を見させていただいたクリスチャン・ラッセンよりも、私的にはその世界に入り込むことが出来ました。

 外出時には常にカメラを携帯するのですが、今回は「美術館」なので、著作権のこともあるので常識的に内部は撮影禁止だろうから…ということでカメラは携行しませんでした。ところが撮影可でした。(ストロボは禁止)分かっていればかなりの部分、解説等を記録してきたのに…。下はケイタイカメラで撮った入口付近の展示です。
 中学・高校時代に先生から「マンガを読むやつは馬鹿になる」と言われていたものの、矢口氏は常にトップの成績を保ち、見返してやっていたそうです。この見学時には病床にあったようですが、存命中に見学させてもらえてよかったと思います。    ・・・完